村田沙耶香さんの 地球星人 を読んだ!感想・ネタバレ

これもまたなるちゃんの影響で読みました。
私は本屋さんに行くと馴染みの作家さん馴染みの内容のコーナーへ歩いていく習慣があり、CDショップよりも食わず嫌いしてしまう。
2016芥川賞作家の村田沙耶香さんの作品や、
2017直木賞・本屋大賞作家の恩田陸さんの作品、
読むきっかけがあると助かるのです。


地球星人は、想像していたより重い内容でした!
なぜこんな惨いことを…という描写が多い。
お盆に親戚が集まり、田舎で川遊びをしたり、送り火をしたりする、ほっとする描写もっとこい!と願いつつも、
全体は惨い方向へずんずん進んで行く作品です。

なぜこんな惨いことを…と思いつつ読みましたが、
しかし読み終えると惨さが唯一の救いだったのかなとも思います。

この作品の登場人物は「勉強し、社会へ出て働き、結婚し、子を産み家庭を作る」という普通の人間生活を徹底的に否定します。
あくまで周囲の人間と同じようにできない自分は宇宙人(最初は魔法使い)であるとしつつ、
上のような人間生活は「地球星人」の「工場」の営みであると異端視し、
最低限の人間生活らしいことをしようと試みるもやはりできず、今度は完全に人間生活を否定した生活を試みるも…
というストーリーです。
はじめに魔法使いとか宇宙人と思い込むようになった原因は、子供時代の惨いトラウマにあったようで、原因がそもそも普通でないと分かる点が”惨さが唯一の救い”と思った理由です。

地球星人である自分から見れば現実逃避だろと、その一言で片づけたい所ですが、
「空は本当は青くない」と主張する人がその理由を説明すれば、一理あるなと思うように、
彼女たちが「君たちは地球星人で工場の一部なんだぞ」といえば、少し理解してあげる必要はあるのかなと、
しかしこの本の結末がアウトだったことは教訓にしておきたいと思います。

人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
-夏目漱石(草枕)