映画『ソロモンの偽証・後篇』を見た
※ネタバレ注意です前篇のブログ
映画『ソロモンの偽証・前篇』を見た
原作:宮部みゆき
監督:成島出
脚本:真辺克彦
出演者:藤野涼子、板垣瑞生、石井杏奈、清水尋也、富田望生、前田航基、望月歩、佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、黒木華、小日向文世、尾野真千子ほか
ソロモンの偽証 - wikipedia(ネタバレあり)
気になったテーマ
・校長先生のけじめ
前篇では柏木君の不審な死に始まり数多くの嘘や暴力が生まれました。後篇はそれぞれの事柄のキーマンが裁判を通してけじめをつけるシーンが主に多かった印象です。柏木君事件をうやむやにしようとした校長先生もそのキーマンの1人です。校長は裁判に出てきて自分がしでかしたことを自ら述べ謝罪をするのですが、その時の生徒達の反応は見所だったように思います。その反応までセットで1つのけじめということだったんじゃないでしょうか。また、柏木君の死という核心部分とは逸れますが、それがやりたくて裁判を開いたという意義も見れた気がします。そしてどうでもいいことなのですが校長先生がアイスを食べるシーンがありましたがあのアイスはどこで手に入れたのでしょうか。
・大出君のキャラ
大出君は親が金持ちのイジメメンバーのリーダー格で、この裁判の被告人にあたる人物です。大出家にも複雑な事情があるのですが、それにしても悪い奴で、裁判に出てきてからも怒りが収まらない様子でした。どこで怒りが沸点に達するのか、そして彼が良い奴に変わる場面は見れるのだろうかというのは後篇通して期待して見てしまいました。大出君のセリフで2つ印象的なセリフがあったのですが、1つは「はしゃぐんじゃねぇよ気持ちわりぃな!」。もう1つ「お前も親父みたいに人殺しになるんだよ!」(うろ覚え)的なセリフです。2個目のセリフは父親が殺人犯の神原君に対して吐かれたのですが、神原君は同じ事を別の人物からも吐かれていて「はっ」としました。
・体育館(裁判所)のガヤ
傍聴席は裁判ちゅいつも人が多く、大出君が証言台に立つ日はイジメに遭った子の親御さんが特に多かったようで、野次の量もピークだったんじゃないでしょうか。裁判への関心度の高さなのか当事者意識故なのか、裁判中に結構「ガヤガヤ」いうので気になりましたが、その「ガヤガヤ」にも何かしら意味があったように思います。
・柏木君が意外と活躍した
前篇の柏木君はたまに出てきて正論めいたことをずばっと言い、動物に心を寄せるまるで聖者のような位置づけかと思いましたが、後篇では結構出てきます。そして人間らしさを見せてくれます。「お前のようなやつが一番タチが悪いんだよ!」は柏木君が言ったセリフですが、後篇を見て「お前が言うなよ!」と思う人も多いはず。
・三宅家の母子
三宅樹里ちゃんは前篇から声が出なくなったりニキビが酷くなったりという症状を抱えてしまいますが、その原因は前篇で言っていた唐揚げだけの問題というより自分の嘘と母親のことがストレスになったのも原因なんじゃないでしょうか。何かをきっかけにその症状も和らぎます。親子関係はこの映画でも良く描かれていますが、三宅親子ほど緊張感のある親子はいなかったと思います。母親は「私の樹里ちゃんのことは私が知ってる!私が守る!」という人物ですが、その母親も結局は樹里ちゃんの言うように藤野さんに会わせ、裁判に出席させ…と実は察してる部分もあるんじゃないかと思わせられました。樹里ちゃんも自分の意志を母親に伝えたり「ここまでバカだとは思わなかった!」とキレたりします。後篇は前篇で生まれた疑惑が解消されていく過程がメインだったと思いますが、三宅樹里ちゃんのくだりで新たに嘘が生まれる辺り、厄介なひねくれ方をしてるなと思い知らされました。
以上。